研究グループ

サークル名 サークル詳細説明

ダンテの「神曲」を読む会

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「ダンテ・アリギエーリ著 『饗宴』,ヴェネツィア,1521年刊の口絵。ウンベルト・ボスコ編『ダンテ百科事典』補巻,ローマ,イタリア百科事典協会,1978年刊より」

講師 : 安保 大有 先生
開催 : 第2金曜日(8月、2月は休み)14時~16時(途中休憩あり)
場所 : 調布市文化会館たづくり または 調布市教育会館

2000年より10年かけ「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」を通読しました。受講者の希望により、再度「地獄篇」から読み直し2016年10月から「煉獄篇」に入りました。

参考図書は『神曲 煉獄編』原 基晶 訳 講談社学術文庫 です。

講師のご紹介

1944年 秋田県鹿角市生まれ
シチリア・イタリア文学研究家
イタリア共和国国民ピランデッロ研究所会員
日本イタリア学会会員,日伊協会会員

論文
1990年 「ピランデッロの根本経験」(国際ピランデッロ研究会報告。議事録所収)
1993年 「銃声一発」(国際ピランデッロ研究会報告。議事録所収) ほか多数

訳書
1988年 ルカ・ランドゥッチ著『ランドゥッチの日記―ルネサンス一商人の覚書』(共訳,近藤出版社)(共訳者の依頼による)
1997年 ナンシー・K・シールズ著『安部公房の劇場』(新潮社)(ドナルド・キーン氏の依頼による)
2001年 ガスパレ・ジュディチェ著『ピランデッロ伝』(尚学社)(ピランデッロ研究の基本書。シチリア人著者との協議による)

講演
1986年 「日本におけるピランデッロ研究」(ルイージ・ピランデッロ没後50周年記念国際ピランデッロ研究会における招待講演)
1996年 「安部公房とピランデッロにおける根本経験の共有」(米国コロンビア大学における国際安部公房シンポジウムでのパネリスト基調講演)ほか多数

2000年 カトリック大聖年を記念して,「ダンテの『神曲』を読む会」(アカデミー愛とぴあ)開講

講師からのメッセージ

壊れた世界を修復する旅へのお誘い

 神が世界を創造したとき,ルーキフェルを頭目とする天使の一団が神に反逆し,天上から叩き落されました。ルーキフェルは宇宙の中心にある地球の,そのまた中心に突き刺さり,そこにぽっかり空いた空洞に浮いています。そこは地獄の底であり,堕天使たちが南半球からエルサレムの真下に堕ちてきた世界の傷跡はそのまま残りました。ルーキフェルは地獄の王となり,手下の堕天使たちは悪魔となって地上に災いをもたらすようになりました。そこでダンテは,ルーキフェルが墜落した軌跡を逆に辿って世界を修復する旅に出ます。その旅の記録が『神曲』です。

 『神曲』は全100歌,14,233行からなる壮大な叙事詩であり,古いイタリア語で書かれていて,しかも700年も前,やっとルネサンスの気配が漂ってきた時代の作品ですから,ともすれば現代とは無縁の遺物と見られがちです。しかしそうではありません。存在する世界をこの世とあの世に分ける,いわゆる「二世界説」に基づき,あの世からの「視点」によってこの世に「価値」を設定したところからヨーロッパの病根が生まれているとするなら,近代化のためにヨーロッパの「価値」を導入した日本にとって,日本人にとって,『神曲』は,一度は本気で歩いて経験しなければならない今日的意味をもった旅路の記録です。

 その旅はどこから合流して歩み出しても構わない道行です。『地獄篇』第1歌の1行目から構えて「出発する」必要はありません。幸いにも,日本人もやっと信頼するに足るわれらの『神曲』を手にしました。原基晶訳『神曲』(講談社学術文庫,全3巻,2014年刊)です。それを通読するだけで旅に合流できます。それに,講師は,シュライアーマハー,ディルタイ,ハイデガー,ガダマーと続いてきた「解釈学」による「内部解釈」に基づいて,「理解における循環」の方法を採っていますので,いつも作品全体を意識化しながら読み進むことができます。また,講読会は,1歌ごとに前もって講師の試訳と有力なダンテ学者による補註をお届けするという,理解がしやすい進め方をしています。

 みなさん,せっかくこの世に生を享けたのですから,月に1回,第2金曜日の午後2時から2時間,どっしりした世界的古典を読む経験を積んだあとで地上滞在を終えるのも,意義のある命の使い方ではないでしょうか。ご参加をお待ちしています。

連絡先

体験受講ご希望の方は事務局 ℡042-441-6328までご連絡ください。

会員数:20名(2018年11月現在)


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